蕎麦屋の名店や高級旅館で使われている「焼き海苔箱(培炉 ほいろ)」を知ってますか?
おいしい最高級海苔は1枚(21㎝×19㎝)が300円~500円ほどします。
こうした高級海苔ほど最高の状態で食べたいものですよね。
焼き海苔箱(培炉 ほいろ)
そんな海苔を最高の状態で食べるのにもってこいなのが「焼き海苔箱(培炉 ほいろ)」です。
最高級の海苔は醤油などつけなくても、そのままでたいへん滋味深く酒の肴としてサイコーに合います。
酒の肴として、またご飯のお供として食べるときに海苔は繊細ですので、すぐに湿気ってしまい、その風味が落ちてしまいます。
これじゃ、せっかくの高級海苔の味わいも半減してしまいます。
そこで木箱の「焼き海苔箱(培炉 ほいろ)」を使うと海苔を乾燥させ、いつでもパリッとした香ばしい海苔の風味を楽しめます。
風情を楽しむ蕎麦屋の名店や高級旅館ならではの”粋な計らい”ですね。
この「焼き海苔箱(培炉 ほいろ)」は室町時代から使われだしたとのことです。
室町時代といえば千利休の茶の湯のころですから、茶道などに相通じるものがあるのいかもしれませんね。
ちなみに「培炉ほいろ」って聞きなれない言葉ですが、「モノを下から弱く加熱して乾燥させつつ、手を加えられるように工夫された作業台」のことのようです。
焼き海苔箱の使い方
では、この「焼き海苔箱(培炉 ほいろ)」の使い方を説明します。
①まずは「焼き海苔」を用意しますが、乾海苔(干し海苔、板海苔)の状態であれば軽く火であぶって「焼き海苔」にします。
※乾海苔(干し海苔、板海苔)とは海苔を乾燥させて、まだ焼いていない状態で、下図のように2つ折りにして売られてます。
②全型海苔(21㎝×19㎝)を3回中心で折っていき8切にしていきます。
2切(半切)
4切
8切
③「焼き海苔箱」の底に鉄の受け皿をのせ、小さな炭を2つ置き火をつけます。
松栄堂さんのみやこ炭(小48粒入)使用
④「焼き海苔箱」の上段に和紙をセットします。
⑤和紙の上に先ほどの8つ折りにした海苔を置き、蓋をします。
炭が十分に燃焼していれば5分ほどで、焼き海苔がほんのりあたたかくパリッとした香ばしい海苔に変身し、食べごろになります。
湿気った海苔もパリッと復活します。
⑥炭は火がついてから40分ほどで四角い形を残したまま灰になります。
⑦次に海苔を和紙でなく金網の上に置いてあたためるとほのかな炭の味わいも楽しめます。
最初、「焼き海苔箱」を使う前に「家庭で木箱の中に炭って火事などの心配ないのかな?」と思いましたが小さな炭ですので、全く心配いらずでした。
おいしい海苔を最高の状態で食べたいとき、「焼き海苔箱(培炉ほいろ)」はおすすめです!
ゆったりとした時を食とともに楽しむ和食文化の一環ですね。