有明海苔の”上質な焼き海苔”は特に味付けしなくても最高においしいのですが、その理由を調べてみました・・・
有明海苔の旨味成分
一般的な海苔に含まれるタンパク質の量は約40%ですが、初摘みの等級の高い有明海苔には50%以上含まれています。タンパク質が多いということは旨味成分である「グルタミン酸」などが多く含まれていることになるんです。
ちなみに先日、海苔の等級検査時にタンパク質量の測定機を見せてもらったときの「乾し海苔」のタンパク質の量はなんと驚異の55%でした!(一般の海苔に比べ旨味成分がギュッと濃縮されていることになります)
海苔にはグルタミン酸(昆布の旨味成分)の他にもイノシン酸(鰹節の旨味成分)、グアニル酸(椎茸の旨味成分)と3つもの旨味成分が含まれています。こんな食材は他にはありません。
この旨味成分のうちグルタミン酸とイノシン酸の比率が10:1のとき最もおいしくなるとされており、海苔の旨味成分の比率がまさしくこの黄金比率なんです。
それとおいしさには、この旨味成分の量だけでなく、口の中で溶けだしてくるおいしさ成分の速さが大切になってきます。ですので口どけがよいことがおいしい海苔の条件になります。
口どけがよい海苔は初摘みなどの若いやわらかい海苔になりますので、秋海苔、冬海苔の初摘みがおいしくなるわけです。
有明海苔のおいしさの秘密
では、なぜ有明海苔にはこのようなタンパク質や旨味成分がが多く含まれるのか?
なのですが「有明海」と「有明海苔の養殖方法」にその理由があります。
有明海
有明海は九州最大の湾で、熊本、福岡、佐賀、長崎の4つの県に面しています。
その有明海の特徴として
・干満差が大きい(最大6m)
・潮流が速い
・筑後川、六角川、矢部川など100以上の多くの河川が流入している
・栄養塩が豊富な海である
・塩分濃度の変化が大きい
・濁った海域である(水質的にはきれいだが、浮泥が多い)
・日本最大の干潟を形成している
などがあります。
有明海には多くの河川が湾に流入しており、河川流域面積は海域面積の5倍もあるとのことです。この多くの河川が様々な”森の栄養分”を有明海に運んできてくれ、栄養塩も多く、有明海は”豊穣の海”、”宝の海”といわれてます。このような有明海の恵みをたっぷり受けて育つことが有明海苔のおいしさのもととなってます。
有明海苔の養殖方法
有明海苔の養殖方法は「支柱方式」をとっており、支柱に網を張って網に海苔を生息させていきます。
有明海は潮の干満差が最大6mあるので、
潮が満ちているときは網は海水に浸かっており、
潮が引いているときは網が空中にあり、乾燥して病気を予防するとともに、太陽の光をたっぷり浴びて光合成を行います。この光合成により旨味成分であるタンパク質を構成するアミノ酸(グルタミン酸など)がたっぷりつくられます。ですから有明海苔はタンパク質が多くおいしい海苔になるのですね。
このように豊穣の海である「有明海」、「河川の多さ」、「最大6mの干満差」、「支柱方式」などの条件が重なり合わさって世界一おいしい海苔、有明海苔が誕生するわけです。